この涙が枯れるまで

何で…
何で百合が今出てくるの?
百合の残像が目に映る。


『優?』


その瞬間、百合の残像は消えた。
何だったんだろう。
僕の隣には今ナナがいるのに。
僕はナナに笑顔を見せた。
でも僕の手は、手汗をかいていたんだ。


今日は班で沖縄見物。
僕達はナナが欲しがっていた《星の砂》を探しに行く予定。
僕達はバスに乗り込んだ。
当然、僕の隣はナナ。


『ナナは何で星の砂が欲しいの?』



『え?知りたい?』



『かなり!!』




『昨日の夜私の過去の話…したじゃない?覚えてる?』



『覚えてるよ』



『お父さんとお母さんがね、事故で死んじゃった時、空港に向かってたって言ったじゃない?
お父さんの出張先…沖縄だったの。それで、後から、警察の人が来て、お父さんの荷物届けに来たの。』




『うん…』



『その荷物の中に、沖縄のパンフレットが入っていてね、星の砂ってところに丸が付けられてたの。そこにナナって書いてあったんだ。…多分それはお父さんが私におみやげで星の砂を買ってこようとしてたんじゃないかなって…
だから、欲しいの』




僕は何て言っていいか分からなかった。



ただ、ただナナの手を握っていた。





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