この涙が枯れるまで


…空港へと着いた。
見慣れた街並みが僕の目に映る。



『優~広瀬~じゃあな!!』

『鈴木君!!ナナ!!ばいばぁい!!』



『歩、沙紀またな!!』


『斉藤君ー沙紀ーばいばい』




歩と沙紀は二人仲良く帰って行った。



『ナナも帰るか?』


『うん、帰るよ?』



ナナは寂しくないのかな。
僕はまだナナといたかった。


『じゃあ途中まで送る』


『いいって!!お母さん待ってるでしょ?早く行きなよ!』



『でも…ナナが…』



『私なら大丈夫♪結構近いから!!』




『ホント? じゃあさ、帰ったら連絡ちょうだい?』



『はいはい!分かってるって♪』



『絶対だかんな!!』


『うん!じゃあね』



『おう』



ナナは僕の手を離し、去って行った。
何回も振り返って手を振りながら。
僕は何か思い出すようにナナを呼び止めた。



『ナナ!!』


ナナは立ち止まり、振り返った。
僕は鞄の中から一つの袋を取りだし、ナナに向かって投げた。


『なぁに?』



『開けてみて!!』



ナナは袋を開けた。



『これ…ストラップ…』



僕が投げたモノ、それは沖縄で買ったストラップ。
ナナに内緒で買ってたんだ。



『ナナの携帯、殺風景だから~!! 俺とおそろい!付けてな!!』



僕は携帯をナナに見せた。
ナナとお揃いの、ストラップが輝いて付いている。



『あっありがとう!!絶対付けるから!!』




『おう!!じゃあな!!』



ナナは再び歩きだした。僕はナナが見えなくなるまで、ナナを見ていた。





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