この涙が枯れるまで
『ナナ!?』
『うん、そうよ?帰ったら連絡くれって言ったのは優じゃない。おもしろいね』
『あ~ごめん。帰れた?』
『うん、大丈夫よ』
『…寂しくない?』
ナナは寂しくないのかな。
帰っても《おかえり》って言ってくれる人がいないから。
だから一人暮らしって少し僕は抵抗があるんだ。
『ん~…寂しいよ』
『あ~!!ナナに会いたくなってきた!!』
『何それ~!!私も会いたいよ』
今願いが叶うなら、ナナのところに行かせて下さい。
『優??明日ヒマ?』
明日は休息をとるため、学校は休みだった。
とくに予定はない。
『ヒマ~』
『修学旅行で優が、私の育った所見たいって言ったじゃない?明日案内してあげる』
『まじ?』
『うん、大丈夫?』
『うん、余裕!』
『じゃあ、明日駅に11時でいい?』
『えっもっと早くがいい~』
『じゃあ10時は?』
『いいよ!!10時な!』
『分かった!! 今日ストラップありがとね。じゃあね』
『おう!じゃあな』
―ピッ…
僕は電話を切った。
明日ナナにまた会える!!早く明日になれ!!
そう強く願った。
今思ったが、僕は電話ですごく甘えていた気がする。
百合と付き合っていた時とは違う僕が確実にいた。
新しい自分が発見できた。
それもそれで嬉しかったんだ。