この涙が枯れるまで
待ち合わせの駅に着いた。
時間は9時55分。
まだナナは来ていないと思っていた。
そしたら、駅には髪をアップにし、黒のロンTにジーパンにパンプスに身を包んだナナがいた。
可愛い系というより、お姉系。
でもすごく綺麗だった。
僕はちょっとの間、遠くからナナを見つめていた。
『…ナナ?』
『優!!』
『待った?』
『待ってない!!』
ナナ、僕の鼓動は加速しているよ。
少し息が上手く出来ない。
それはナナのせいだよ。
『何か、雰囲気違うな。私服だと』
僕達は電車に乗った。
電車で二駅先にあるらしい。
『ちょっと今日気合い入れてきた』
『まじ? …似合うよ』
『え?』
『似合うって…』
『あっありがとう。』
ナナは下を向いて照れた。
耳を真っ赤にして照れているナナ。
可愛くて可愛くて。
理性がぶっ飛びそうだった。
『優も私服かっこいいよ!!!』
『え? ありがと』
『あっ!!ストラップ付けたよ』
ナナはストラップがついた携帯を見せてきた。
『お~』
『すごく気に入った!!』
『まじ? じゃあ、これを見て俺を思い出してよ』
『うん』
―まもなく○○駅に到着します。
ここがナナの育った街。
『ナナ… ん…』
僕はナナに左手を差し出した。
ナナは右手を差し出す。
繋がれた、二人の手。
僕はナナの育った街に一歩踏み出した。