この涙が枯れるまで
『おはよ。ナナ』
『おはよ。優』
何か少し照れくさくなった。
昨日の事思い出したからかな。
すごく幸せな気分だった。
『今日一時間目何?』
『ん~と、ホームルーム!』
『え~…ホームルーム?めんどくせー。 何やるの?』
『確か、文化祭の出しもの決めるらしいよ』
もうすぐ文化祭に季節。
秋風がバスの速度を加速させる。
『え~…何でもいいし』
『優はめんどくさがりやね』
『うるさいって!!』
ナナは昔のナナの面影がないように、最近笑うんだ。
楽しそうに、笑顔になるんだ。
ナナ…君は少し変わったね。
僕は君の成長を一番近くで見ていたような気がするよ。
だから僕は安心したんだ。
──…清秀高校前…
あっという間にもう学校に到着した。
そして僕達は手を繋いで門をくぐる。
みんな振り返って僕達を見るが、僕は何とも思わなかった。
むしろ見て欲しかった。僕とナナの二人の愛を。
他の人に自慢したかった。
でもその光景を見て泣く人もいたんだ。
これはずっと先に分かった事。