この涙が枯れるまで
僕達は教室に向かった。朝の学校は寒い。
まだ人が来ていないから。
ナナの手をギュッと握る。
『あっナナ、鈴木君おはよ!』
『沙紀ーおはよ!』
『おっす!!』
『おい~優~朝から見せつけんなって!!!』
『俺らラブラブだもん』
『いいね~』
僕達は席につく。
『あっ写真持って来た!!』
沙紀が写真を現像したらしく、僕達に見せてくれた。
僕の机の上に写真を並べる。
沢山の写真の中に、僕達が写っている写真があった。
あの時、空港で撮った写真。
みんな良い笑顔。
でも僕はちゃんと笑っていないような気がした。作り笑顔。
そんな気がしたんだ。
僕だけかな。
そう思うのは。
『綺麗に撮ってあるね~!!』
『でしょ!あっ空港で撮った写真、焼き増ししてきたから、あげるね~!!』
『本当?ありがと!大切にする!』
『さんきゅ~沙紀!!』
『はい!鈴木君!』
『…ありがとう』
沙紀が僕に写真を渡してきた。
僕は写真を受け取った。でもその写真をすぐに鞄の中にしまった。
あまり見たくない。
この表情の僕は、何かを考えていた。
確か、僕が考えていた事。
それは、百合の事…。