この涙が枯れるまで
『優の部屋?片付いてるね!』
『そう?てかごめんな、騒がしくて』
僕はナナを膝に乗せ、後ろから抱いた。
この瞬間が好き。
『大丈夫だって!!優のお母さんすごく優しそうだったし、お姉さんも綺麗で優そっくりだった!!』
『恥ずかしいし…』
『私は嬉しいよ! 優のお父さんは?』
『さぁ?あんま見掛けない。単身赴任だから』
『そうなんだ…』
僕は父さんとあんまり会わない。
会っても一ヶ月に一回程度だった。
『てか優、バイトは?ずっと行ってなくない?』
『う~ん、辞めた』
『え?何で?』
『だってナナとの時間が大事だから』
『そんなぁ~いいのに』
『いや、俺がダメなの!!!ナナはバイトやってる?』
『うん、マンションの家賃払わなきゃ行けないから。でも週3だから優との時間は作るよ?』
『ナナ~…』
僕はナナを強く抱き締めた。
『優は甘えん坊ね…』
そして二人の目が合う。久しぶりのキス。
僕はナナを感じる。
『あっ!!!』
『なっ何?』
ナナはいきなり立ち上がり本棚に向かった。
『この詩集~!!』
ナナが前に読んでいた詩集。
《涙溢れる詩集》だった。