この涙が枯れるまで


『何?優持ってたの?』

『うん、ナナが持ってたから気になって買ったんだ』




『そうなんだ? 私この詩集大好き。一番好きな詩ある?』




『うん…あるよ。《君の隣》っていう詩』




『あっ私もこの詩好きなんだ!一緒だね!!』




『そうなん? 何か感動する』




『ね! 今私の隣には優がいるね』




『俺の隣にはナナがいる』



『この詩みたいね!』




ナナ…この詩の意味分かる?
僕の隣には君がいたのに、今は居ないっていう意味だ。
テレビのチャンネルを変えながら、クリスマスのことを聞いた。



『ナナ…クリスマスどこ行く?』




『え~と、どこでもいいよ?』




『じゃあ…ナナの家行きたい』




『マンションの事?』




『…うん』




『じゃあ料理でも作って待ってる♪』




『すげぇ楽しみ!!』



『何が食べたい?』




『ナナが作るもの全部食べる!』




『じゃあ頑張って作るね』



ナナの家、ナナの料理、早くクリスマスになって欲しかった。




ナナは、クリスマスの予定を決めると、帰って行った。



早くクリスマスにならないかな…
街は、クリスマスを向かえる準備が整っている。
僕もその一人だ。
ベランダから、空を見上げる、今日は雲が流れるのが速い。
繋がった雲が、僕の家を覆う。






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