この涙が枯れるまで



後ろを振り返ると、安里がいた。


『あっ安里!!』


『よっ優!最近全然喋ってなかったよな!!』



『そだな!!』



安里とは席が前後なのに、あんまり話さなくなっていた。
安里には安里の友達もいたし、僕にはナナや歩がいたから。
話すのはすごい久しぶりだった。



『元気??』


『見ての通り!』



『幸せそうだな~!!てか、優に話たい事があるんだけど、冬休みのどっかの日、会える?』



『どうした?いつでも誘ってくれていいから』




『ありがと。じゃな!!』




『じゃな!!』



安里は爽やかに出て行った。
安里が話たい事ってなんだろう。

まぁいいか…
窓際にいたナナを見つけ、僕はナナを呼んだ。


『ナナ~帰ろ』




『うん!!』



僕達は手を繋いで帰って行った。




お互い冷たい手。
僕は繋いた手をポケットの中にいれる。
これが今の僕達の手の繋ぎ方なんだ。
こうすると次第に手が温かくなってくるんだ。




『ナナ、これから暇?』


『ごめん!!今からバイト!!』



『え~…分かったよ、頑張れよ』




『うん!!終わったらメールするね』




僕は先にバスを降りる。手を何回も振り、見えなくなるまでバスを見送った。


そして家に着く。
そういえばナナにまだプレゼントを買っていない。
何がいいかな。
何が欲しいのかな。
僕は明日ナナへのプレゼントを買いに行く事にした。




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