この涙が枯れるまで



そして夕方になり、僕は駅の前の喫茶店に行った。
もうすでに安里がいた。部活の格好の安里は、いつもより爽やかに見えた。
安里のいる席に行き、安里の前に座った。


『安里、話ってなんだ?』


適当に注文し、安里の話とやらを聞いた。


『あぁ…』



今から話す安里の話は、楽しい話ではない。
安里の顔を見た瞬間分かった。




『どうした?』



『…優…俺、今ごろさ…こんな事言ってどうなるか分からんけど、言っとくな。でも気にしないで欲しい』




『だから何だよ?』



『…俺が小林と付き合ってたの知ってるよな?』




『…うん』



『何で別れたか知ってる?』




僕は安里と百合が別れたのは歩から聞いていた。でも別れた理由は聞いていない。



『知らねぇ…』




『実はな…小林…お前の事忘れてなかったんだよ…』



『…は?なっ何それ…』




『小林と、キスはしたけど、最後までは終わってなかったんだ』




『…………』



『意外だろ? あいつ、誘っても断るんだ。
しかも、まだ優からもらった指輪…大事にしまってあるし、絶対あいつの誕生日8月27日は遊んでくれなかったんだ。でもお願いして、夏祭り行ったんだけど』




『……………』



『意味…分かるか?』




僕は安里が何を言っているのかが分からなかった。
百合はまだあのペアリングを大事にとってある?8月27日に遊ぼうとしなかった??
誕生日なのに?

どうして…


どうして…



ねぇ…百合どうして?





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