この涙が枯れるまで
『優、誕生日おめでとう』
『ありがとう!!』
改めてナナに言われると嬉しくなる。
ナナといると、百合の事は忘れているんだ。
僕達は手を繋ぎ歩いて行く。
『ナナ…すべるなよ?』
『大丈夫!!優がいるから』
『転ぶ時は一緒な!!』
バス停から家まで結構時間がかかる。
いつもは自転車だから早いが、今は雪が積もっていて、自転車では無理だ。
道はほとんど凍っている。
僕は滑らないような道を歩いて行った。
そして、家に着いた。
『幸ー旬君ーナナが来たよ!!』
するとその声に反応するように、足音が近付いて来る。
『ナナちゃ~ん!!!』
ナナは幸のこのテンションに、少しひきつっている。
そして、旬君がナナの前に現れた。
『君がナナちゃん?』
『あっはい!!こんにちは…』
旬君はじっとナナを見つめる。
『旬君?』
『めっちゃ美人!!優、お前やるな~!!』
『は?びっくりするし!!』
『いいな~若いし。なぁ~幸!!』
『旬…ウザいから!!』
幸は頬を膨らませ、怒っていた。
『嘘やって!!幸が一番だよ』
幸って旬君の前ではこんな顔をするんだ。
初めて知った。
ナナを見ると、やっぱりまだ慣れていない感じがした。