この涙が枯れるまで



『優、誕生日おめでとう』


『ありがとう!!』


改めてナナに言われると嬉しくなる。
ナナといると、百合の事は忘れているんだ。
僕達は手を繋ぎ歩いて行く。



『ナナ…すべるなよ?』

『大丈夫!!優がいるから』



『転ぶ時は一緒な!!』



バス停から家まで結構時間がかかる。
いつもは自転車だから早いが、今は雪が積もっていて、自転車では無理だ。
道はほとんど凍っている。
僕は滑らないような道を歩いて行った。

そして、家に着いた。



『幸ー旬君ーナナが来たよ!!』



するとその声に反応するように、足音が近付いて来る。


『ナナちゃ~ん!!!』



ナナは幸のこのテンションに、少しひきつっている。
そして、旬君がナナの前に現れた。



『君がナナちゃん?』




『あっはい!!こんにちは…』



旬君はじっとナナを見つめる。



『旬君?』




『めっちゃ美人!!優、お前やるな~!!』




『は?びっくりするし!!』



『いいな~若いし。なぁ~幸!!』




『旬…ウザいから!!』


幸は頬を膨らませ、怒っていた。



『嘘やって!!幸が一番だよ』



幸って旬君の前ではこんな顔をするんだ。
初めて知った。

ナナを見ると、やっぱりまだ慣れていない感じがした。





< 214 / 419 >

この作品をシェア

pagetop