この涙が枯れるまで
『ナナちゃん!!上がって上がって!!』
『あっ…おじゃまします…』
僕達は幸の部屋に向かった。
幸の部屋に入るのなんて久しぶりだった。
勝手に入ると怒られるから、入った事がない。
そして、適当に座り、僕はナナに紹介をした。
『この人、幸の彼氏の旬君!!こう見えて医大生!!』
『こう見えてって何?意外?』とナナに尋ねる。
ナナはニコッと笑い、『頭いいんですね』と言った。
『よし!!飲むか!!』
旬君が言い、みんなお酒を手にした。
ナナはジュースだけどね。
『優!!誕生日おめでと~!!乾~杯!』
僕の誕生日会が始まった。
でも数時間経つと、幸と旬君は完全につぶれてしまっていた。
僕はまだ大丈夫。
ナナは二人を見て笑っていた。
ナナはもう僕達にとけこんでいた。
何だか嬉しくなる。
僕はナナに、『ちょっとベランダ行ってくる。風に当たりたいから』とだけ言って外へ出た。
夜空を見上げると、星達が輝いていて、眩しかった。
この夜空はあの日の夜空に似ていた。
あの日、僕が百合に告白をしたあの日の夜空に。