この涙が枯れるまで


僕は一人になると、百合の事を考えてしまう。
本当に僕は弱い人間だな。
本当に僕は最低な人間だな。

するとナナがベランダにやってきた。


『寒くない?』


『ん?大丈夫…気持ちいいよ』



『今日はありがとね。何か優に少しだけ近付けた気がする』




『まじ? 今日楽しかった?』




『楽しかったぁ!!』



ナナは僕に最高の笑顔を見せてくれる。
ナナの笑顔を見ていると、やっぱり自分が考えている事が忘れていくんだ。

ナナの笑顔は本当に魔法みたいだ。
僕とナナは、夜空を見上げた。
すると、僕達の前を、ひとつの星が流れた。
僕達は同時に、

『流れ星!!』
『あっ流れ星!!!』と叫んだ。


でも流れ星は一瞬にして消えてしまった。




『優は…流れ星に何をお願いする?』




『ん~…ナナと一緒にいれますようにって願うかな』



『ホントに?』



『多分ね』




『何それ!!!』




僕が初めてみた流れ星は、一瞬にして消えた。

この星に僕の願いは届く事なく、一瞬にして消えた。


百合…
もし流れ星を見たなら…何を願う?




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