この涙が枯れるまで
僕達は電車に乗り、都内の水族館へ向かった。
そして、水族館に着いた。
百合ときた水族館。
何も変わっていない。
余計鮮明に百合との思い出が蘇る。
ナナは僕の手を引っ張り歩いて行く。
『見て!!イルカ可愛い~!』
僕はこの言葉に反応をした。
百合も同じ事を言っていた。
また百合の残像が目に写る。
『ゆ……』
僕は百合の名前を言いかけた。
でも残像はフッと消え、現実になった。
『ゆ?』
ナナは不思議そうにこっちを見た。
『…ゆっくり見ようぜ?まだ時間あるし…』
『うん、そうだね』
ドクン…
ドクン…
僕の中が変に動き出す。やっぱり僕は百合の事が気になってるのかな。
もし、僕の今の心境を聞いた、世界中の人達は、僕に幻滅をするだろう。ナナも、歩も、沙紀も、安里も。
僕は一歩も先に踏み出せない、弱い人間なんだ。
でも僕はもう一歩を踏み出していた。
それは、道ではなく、
出口のない迷路。
僕は、彷徨い続ける。