この涙が枯れるまで
僕はナナと離れ3‐2に向かった。
この教室に百合がいる。僕は緊張が隠しきれなくなっていた。
緊張のせいで胸が苦しい。
すると誰か僕の肩を叩いた。
僕はビクッと反応をする。
『優?何?どうした?』
その正体は歩だった。
『あっ歩か。びびった。てかまた同じクラスだな!』
『おっお~。三年間同じクラスだな!!!あと沙紀とも』
『嬉しいよ、普通に…』
僕は下を向いた。
『…まぁ優はさ、普通にしてればいいんじゃねぇの?』
歩が、百合の事を言っているという事はすぐに気付いた。
『おう…頑張るよ』
『よし!!入ろうぜ!!』
僕達は教室に入っていった。
教室に入るとすぐ、窓側に立って、友達と仲良く話している百合の姿が目に入った。
百合は少し変わった。
大人に近付いている。
そう思った。
―キーンコーンカーンコーン…
鳴り響くチャイム。
僕は真ん中の列の、前から4番目の席に座った。
あの一年生と同じ席。
前は歩。
横は百合。
何も変わっていない。
しかし、僕の気持ちだけは違っていた。
あの頃のままではない。変わることなど、ないと…思っていた。