この涙が枯れるまで
──順調に物事が進んでいく。
『これで学校終わります!!さよ~なら!!』
『歩!!沙紀、結局来なかったな』
『お~…さっきメールしたら風邪らしいわ』
『大丈夫なん?』
『分からん~今から沙紀の家行ってくる。じゃな!!』
『そっか…心配だな。気ぃつけろよ。じゃあな』
『さんきゅ』
沙紀は滅多に風邪なんか引かないのに、大丈夫かな。
僕はナナを迎えに、4組へ向かった。
『ナナ?』
僕はナナを呼んだ。
するとナナの周りに沢山の人達がいた。
僕はびっくりした。
ナナ…友達出来たんだ。
『優~!!お待たせ』
『あっうん、ナナ…友達出来たの?』
『うん!何か…わたし忘れてたみたい。友達ってこんなに必要なものっていう事、忘れてた!!』
『そっか…良かったじゃん!大成長!』
『ねぇ… この事教えてくれたの誰だかわかる?』
《この事教えてくれたの誰だかわかる?》
僕はこの言葉が耳に残った。
ナナは確実に成長していた。
でも僕は成長している?僕はまだ全然成長をしていない。
前に僕は思った。
《未練は邪魔なもの》
今、僕に未練が残っている。
この未練が僕の胸を苦しめるんだ。