この涙が枯れるまで
僕はお風呂に入った。
まだあの夢が残っている。
ナナの泣き顔。
すごく胸が苦しくなった。
でも更に苦しくなったのは、百合のあの言葉。
《優君…私あなたが好き》
頭から離れなくて、離れなくて、苦しい。
僕は楽になりたいのに、楽にしてくれない。
恋や恋愛は、全然楽じゃない事を初めて知った。
好きな人がいればそれだけで幸せなんだと思っていた。
でも今の僕はどうだろう?
幸せかな?
自分に自信がなくなってきた。
僕はちゃんとナナを好きなのかな?
『あ~もう…うぜぇ』
何もかも分からなくなる。
僕の心も紅い月が蝕んでいく。
神様は僕をどれだけ苦しめればいいのですか?
風呂からでると、髪を乾かし、僕は、眠った。
もうあの夢は見なかった。
そして次の朝…
また僕に神様が悪戯をした。
『優おはよ』
『あっナナおはよ』
いつもと同じ始まり。
『今日元気ないね?どうしたの?』
『え?そう?普通だよ?』
僕はすぐ顔に出るから分かるのかな。
僕はまた昨日の夢の事を思い出していた。