この涙が枯れるまで


僕達はいつもと同じ時間に学校に着く。


『じゃあね、優。また後でね』



『お~じゃあな』



僕はナナを見送って教室に向かった。
こんなにも教室に向かいたくないのは初めてだった。
教室には百合がいる。
ナナではなく百合。
百合に会いたくないな…と思いながらも、教室へと足を運ぶ。


教室に入ると、『優~おはよ』と歩の声が聞こえた。



僕は内心ホッとしていた。
もし歩がいなかったら、僕は教室に居づらかったから。


『お~おはよ!!沙紀は?』


『おるよ~』




『あっ鈴木君!!昨日はありがとね!!』



『沙紀元気になった?』


『もう大丈夫!!ありがとね』



『こいつすげぇ回復力だから』



『うるさい』




そう話していると、教室に百合の笑い声が聞こえる。



百合の笑った顔や、百合の声が僕の目に映る。
僕の表情が曇る。
それにいち早く気付くのは歩なんだ。



『優…大丈夫か?』


『あ?別に大丈夫だって…』


『何かあったら言えよ?』


『お~…』



―キーンコーンカーンコーン…

授業が始まった。
まだ今日は平常授業ではない。
ホームルームの時間。
何をやるんだろう?

『今日は、学級委員を決めます!!』


えっ?
僕は止まった。





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