この涙が枯れるまで
…あれから、僕の時間は流れていく。
4月の中旬。
もうクラスにはだいぶ慣れた時期。
あの保健室から百合の目を見ていない。
あの体育館から百合と話していない。
それは、避けてたわけじゃない。
答えを出すため。
向き合うんだ。
自分自身と。
『優~!!』
教室の外から僕の名を呼ぶ声が聞こえる。
その声が聞こえた方へと進む。
『ん?何?ナナ』
『あのね~今日バイトないんだぁ!!だから、遊ぼ?』
『……わりぃ…俺今日無理なんだ』
『…何でぇ?』
『ちょっと…な…ごめんな…』
『…分かったぁ…暇な日教えてね?』
『ごめん…また今度な』
『いいよ!!じゃあね』
ナナは教室に戻って行った。
僕はナナの誘いも全て断っていた。
向き合うため。
自分自身と。
僕は学校が終わると、毎日向かう場所がある。
最近見つけたんだ。
少し学校から離れた場所に、小さな森がある。
その先をずっと真っ直ぐ行くと、丘があるんだ。
そこは、ベンチしかない所。
僕はベンチに座り、丘から僕の街を見下ろすんだ。
それが僕の毎日の日課になりつつある。