この涙が枯れるまで
僕は教室に戻り、カバンを持って秘密の場所に向かおうとした。
教室を出ようとした時、何か太陽に反射して光るモノが落ちていた。
僕は何だろうと思い、その場所に向かった。
そこには、指輪が落ちていたんだ。
僕は拾い、指輪を見た。この指輪を見た事があった。
それもそうだろう。
僕が選んだ指輪なのだから。
ドクン…
どうしてここに落ちているの?
どうしてこんなとこに、落ちているの?
胸が締め付けられる。
でもこれは僕の知っている指輪ではないかもしれない。
僕の知ってる指輪は、内側に名前が刻んである。
僕は指輪の内側をおそるおそる見た。
そこには、僕の名前と百合の名前が刻んであった。
間違いない。
これは、僕が百合の誕生日にあげたペアリングだ。
―ガラッ…
突然、教室のドアが開いた。
僕は振り返る。
『…………』
『…………』
僕はその人と見つめあったまま何も話さない。
その人も話そうとしない。
その人とは、この指輪の持ち主。