この涙が枯れるまで


僕は百合を離した。
まだ泣く百合を僕の腕の中から離した。



『…百合…今は答えられない』


『……いいの』


『ごめん…』



『私のワガママだもの。ごめんね』



『百合…指輪…返すよ』



『…迷惑じゃない?私が指輪持ってる事』



『迷惑なんか…ないよ』


『ありがとう…じゃあね』



百合は教室から出て行った。
僕は走っていく百合を見ていた。
答えはまだ出てないのに、百合を抱きしめてしまった。
ナナに悪い事をした。
いつになったら僕は迷路から抜け出せるのだろう?

僕はまだ気付いていなかっただけなんだ。
この時もう答えが出ている事なんて、知らなかったんだ。


僕はカバンを持ち、あの秘密の場所へと向かった。
もう辺りは暗かった。
でも星はキラキラと輝いていて眩しかった。

何故…百合はまだ僕の事を好きでいてくれるのかな?
僕は百合に酷い事をした。
酷い事も言った。
でも百合は僕を好きといった。
百合が言ってくれた、ひとつひとつの言葉、全て心に響いた。


百合は、僕の中、全てを埋めつくす。




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