この涙が枯れるまで
『百合、送ってくよ』
『あっありがとう』
あれから少し幸と話して百合は僕の家から帰ろうとしていた。
外はもう暗い。
外灯はあるものの、百合を一人で帰らすのは危なかった。
『百合、明日休みだから泊まっていけばいいのに』
『今日お母さんに帰るって言っちゃったんだ…ごめんね?またいつか泊まるから』
『…うん。でもバス停まで送るよ』
『ありがとう』
僕は百合の手を握り、細くて暗い道を二人で歩いた。
『ねぇ…優君?』
『なに?』
『運命って信じる?』
『ん~…分かんない…百合は?』
『私は信じる!!優君と出会ったのは運命だと思うの』
…ドクン…
僕はこの時、
少しだけ運命を信じようと思った。
少しだけ運命があるんじゃないかなって思った。
百合…
君は運命を信じていると言った。
僕も…信じたい。