この涙が枯れるまで
『運命か…』
『ん?』
『いや…何でもないよ?
ただ運命ってなんなんだろうって思ったんだ』
『運命は…神様がくれたモノだと思うよ?』
『神様?』
『そう神様。神様が選んでくれた道なのよ』
『そっか… あっバス停着いたよ』
あっという間にバス停に着いてしまった。
そして、バスが遠くの方から向かってくる。
バスは僕たちに存在に気づき、僕たちの前で止まった。
『優君ありがとね!!』
『大丈夫だし!!気にすんな! 気を付けて帰れよ?
家着いたら連絡して』
『はぁ~い!!じゃあまたね』
『ばいばい』
百合を乗せたバスが、
ゆっくりと目的地まで運んでいく。
僕はそれをじっと見ていた。
そして、バスが見えなくなると、体の方向を変え、
また来た道を戻る。
外灯があまりない細い道を一人で帰っていく。
すると細い道の先から、一人の人が歩いてくる。
僕はその人とすれ違った。
僕は下を向いたまま歩く。
すれ違った瞬間、
その人が振り返り、呼んだ。