この涙が枯れるまで


『優…君…?』



僕はその人の言葉で、

動いていた足を止めた。



僕も振り返る。


辺りが暗くて、顔がはっきり見えなかった。



でもよく見ると懐かしい人が立っていた。



『……瞳?』



僕の前に立ってた人は、


相沢瞳だった。



『久しぶりだね!!同じ高校でも全然会わなかったね!?一年ぶりくらいじゃない??』



『久しぶりだなぁ!!まじで、元気してた?』



瞳をこんな久しぶりにみたのはいつぶりだろう。


瞳とは全然連絡を取っていなかった。


僕にはナナが居たから。



『瞳部活?』



『あっうん、さっき終わったんだ』



僕は携帯を開き、時刻を見た。


もう8時を回っていた。



『こんな遅くまで練習してんの?』



『うん!!だってキャプテンだもん』



『すげぇ!!でももうすぐ引退だろ?』




『そうだね~寂しいよ』



『瞳…今彼氏いんの?』



『いないよ~バスケが恋人かな…今は』



『そっか…』



外灯が僕達を照らす。



月がだんだんと満ちていく。





< 297 / 419 >

この作品をシェア

pagetop