この涙が枯れるまで
『優君は…?彼女いるの? あっ広瀬さんだよね!広瀬さん可愛いよね』
『な…ナナとは…別れたんだ』
『え?』
瞳は驚いた表情を浮かべた。
『今は…百合と付き合ってる』
『そうなんだ…今は小林さんなんだ…やり直したんだ?』
『うん…瞳は俺を最低だと思う? ナナと別れた後、すぐ百合と付き合って』
『思わないよ…それが恋ってやつじゃない?』
瞳は僕を見て微笑んだ。
『恋?』
『恋をすると、必ず誰かが犠牲にならなきゃいけないよね。でも誰かが犠牲にならなきゃ恋なんて出来ないよね』
『そう…かもね』
『優君は、誰かを犠牲にして小林さんを選んだんだよね?』
『うん…』
『じゃあ、その恋は間違ってないよ?大丈夫だよ』
『うん…』
僕は百合と付き合うため、
ナナを犠牲にした。
『私、気が付けば、優君以来恋してないかも』
『まじ?』
『多分ね? 優君は優しいよね。 だから優っていうのかな…
んじゃあ、帰るね!!
また話そ?』
『うん!!じゃあな!!』
瞳はにこっと笑って細い道の先へと進んで行った。
《優しいから優という名前》
僕は優しい?
そんな事はない。