この涙が枯れるまで
ゴクン…
僕は生唾を飲んだ。
『…内緒』
『何だよそれ~!!隠すなよ~!!』
『まだ教えない♪早く食べないと授業始まるよ~』
『一番お前が遅いから』
僕はつっこんだ。
百合は楽しそうに笑いながら僕を見る。
僕はもうその笑顔に限界なんだ。
―キーンコーンカーンコーン…
結局百合の進路を聞けないまま、午後の授業が始まった。
数学の授業。
僕は聞いていなかった。百合の進路が気になって仕方がなかった。
だから、先生は僕ばっかり当てるのだ。
『鈴木~!!ちゃんと聞け!!お前この問題解いてみろ』
僕に先生はチョークを差し出す。
僕はそのチョークを受け取り、黒板の前に立った。
そしてスラスラとチョークを動かす。
『これだろ?答え』
『あっああ…正解だ』
僕は先生にチョークを渡し、席に戻った。
『優すげぇ~』
『俺…天才だから?』
『うぜぇ~その言い方!!』
『優君すごいね~!!私わかんなかったぁ!!』
『さんきゅ』
僕は百合に誉められると、上へ、上へ、昇るんだ。