この涙が枯れるまで
今、目に写っている光景は、百合の家だ。
洋風でかわいらしい家。間違いなく百合の家だ。何も変わっていない。
『優君あがって?』
『おじゃまします…』
僕も何も変わっていない。
一番最初来た時も僕は緊張していた。
そして今も緊張をしている。
僕は百合に部屋を誘導された。
百合の部屋を見ると、あの時と変わっていなかった。
二年前のあの時から。
『百合…部屋変わってないね…あの時と同じだ』
僕は床に座り辺りを見渡す。
『そうよ…だってずっと残しておきたかったんだもん。優君と初めて結ばれた時から何も変わってないよ』
僕は嬉しくて、嬉しくて、ただ百合の言葉を必死になって聞いた。
僕達の時間はここで止まっていた。
そしてまた、ここから僕達の時間は、動き出す。
『百合…何か嬉しいかも』
『そう?模様替えしなくて良かった』
『百合…おいで?』
僕は百合を僕の中に案内した。
優しく僕は百合を抱き締める。
『百合?』
『何?』
僕は百合の耳に囁く。
『百合…愛してる』