この涙が枯れるまで
──…もう気が付けば5月の下旬。
百合がもうすぐ留学するかもしれないという不安で、毎日毎日僕の笑顔が雲っていくんだ。
歩と沙紀は百合が留学する事は知らない。
『優~どうした?』
『いや…別に?』
『最近暗いね?百合と上手くいってないの?』
今日も僕達3人は、休み時間、百合の邪魔にならないように、廊下で話をしていた。
『百合とは上手くいってるよ?』
『じゃあ何でそんな暗いんだよ?』
『…内緒』
『ケチ~』
『そういえば歩、進路決まった?』
『あ~…あぁ…まぁな』
『歩決まったよね~』
沙紀がクスクスと笑う。
『まじ?何?』
『…親父みたいにはならないけど!!親父の一歩手前?』
『親父の一歩手前って?』
『歩弁護士になるんだって♪』
『ばか!!沙紀言うな!!!』
『………?………』
『優…?』
『鈴木君?』
『……えぇ~!?べっ弁護士?』
『そんな驚くな!!』
『は?待って!!お前弁護士なんかになれんの?』
『鈴木君知らないの~?歩こう見えて意外と頭いいんだよ~??』
『意外って何だ!!俺天才なの!!』
『へぇ~…』
『反応薄っ』
歩も一応夢が決まったみたいだ。