この涙が枯れるまで
『………』
『優君?』
僕は百合にわざと笑顔を見せた。
百合が安心して留学出来るように。
『百合…良かったね』
『ありがとう!!いろいろ準備しなきゃ!!』
百合は楽しそうに留学について話す。
僕はそんな百合が嫌だった。
百合は、僕と別れるのは、嫌じゃないのだろうか。
僕は今でも泣きそうなのに、百合は僕と同じじゃないのかな。
でも僕は百合に合わせて話を聞いていた。
自分の涙を抑えながら。
『百合…気を付けてな』
『大丈夫だよ!安心して』
『うん…』
なぜ僕は寂しいと言えないの。
寂しいって言ったら、百合はどんな反応しますか?
留学と僕…
どっちを選んでくれるのかな…
その答えが聞けないから、僕は寂しいって言えないのかな。
何だ…僕は全然前に進んでない…
全然強くなっていない。僕はまだ弱虫だ。
百合?
もし僕が、この時聞いていたら、どっちを選んでいた?
百合の運命を変えたのは神様なんかじゃない。
この僕だ。