この涙が枯れるまで


僕は百合と手を繋ぎ学校を出ていく。
百合と手を繋ぐのは、懐かしい感じがする。
ずっと繋いでいなかったから。
ずっと僕の手は、誰とも繋いでいなかったから。


『ねぇ…優君?どこに行くの?』



『秘密の場所だよ』



『どこにあるの~?』




『秘密…』




僕は百合の手を引っ張り、小さい丘を登り、僕の秘密の場所へと行った。



『ここだよ…百合』


『こ…ここって…あの写真の景色…』



『あの写真…ここで撮ったんだ。百合が留学するまでには、見せたかった。写真よりずっとキレイだろ?』




『うん…きれ~…
優君…ありがとう!!連れてきてくれて!!すごく気にいった!』




『こんな狭い街でもキレイな場所なんかいくらでもあるんだ…』



『そうだね…』



夕日が沈んでいく。
グラデーションになる空。
見え始める月とたくさんの星。

僕と百合は、そんな景色を、寝転びながら見た。手を繋ぎながら。


『キレイだね…優君』


『うん…』



『ねぇ…優君、知ってる?』





僕はね、まだ願いが叶っていないんだ。
僕の願いは一生叶う事がない願いなんだ。



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