この涙が枯れるまで
──今日で百合とお別れ。
僕は昨日寝れなかった。百合がいなくなるという不安で寝れなかった。
僕は、歩と沙紀と待ち合わせして空港に向かった。
最後の百合を見るために。
空港に着くと、百合のお父さんとお母さんがいた。
百合のお父さんは、目が百合に似ていた。
あの大きな瞳はお父さんの遺伝。
そして百合のお母さんは、肌が白くて優しい笑顔の持ち主。
百合が肌の白いのはお母さんの遺伝。
あの優しい笑顔も。
『こんにちは、俺鈴木優です』
『あら、あなたが優君?百合からいつも聞いてるわよ。今日学校あるのにわざわざありがとうね』
『大丈夫です!!百合の方が大事ですから』
空港がだんだんと人が増えて行く。
もう百合との時間は残されていなかった。
『百合、そろそろ出発ロビーに行きなさい』
僕は百合と全然話せずにいた。
百合を見ていると泣けてくるんだ。
『待って!!』
百合は僕の方に近付いてきた。
そして僕を抱き締めた。
『百合…』
僕も百合を包む。
『優君?寂しくなったら、あの秘密の場所に行って?そして夜空を見上げて?
私、いつでも優君の隣にいるから、一緒に夜空を見上げているから』
僕の目から我慢していた涙が流れた。