この涙が枯れるまで

卒業の日がもう目の前に迫ってきていた。
桜の蕾が膨らみ始める。


『鈴木君ちょっと来て?』

ある日、先生に言われた。



『なんですか?』


『あなたに卒業式の答辞を頼みたいのよ』


『答辞…ですか?』



『そうよ、あなたに頼みたくて。思った事書いてくれればいいからさ』



『はい分かりました』


答辞…
何を書けばいいのだろう。
何を言えばいいのだろう。
僕はまだ卒業したくない。
百合との思い出が消えちゃいそうで、嫌なんだ。
でも必ず時は過ぎる。



────…


胸には花、赤い絨毯、大きな花瓶にある大きな花。
今日は卒業式なんだ。



『俺離れたくないよ~!!』

歩がだだをこねている。


『また会えるって!!』


『俺の事忘れるなよ~!』


『忘れられるかよ、歩はには感謝してるからな』



『優…』



『俺、お前がいなかったら死んでたな、絶対!!』



『優…お前…』



『歩…今までありがとな』


『泣かせるな~!!』


歩は、違う方をみて、涙を拭いていた。



僕は今日、卒業します。



百合…見てるかな。






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