この涙が枯れるまで
夕方の学校は、
誰一人いなかった。
今日は日曜日だからかもしれない。
もう二度と来ないと思っていたのに、
百合と聞いたら
ここに来てしまうんだ。
ここには
百合がまだ眠っているから。
僕は、1‐2に向かう。
僕達が始まった場所だ。
1‐2に着くと、
僕は迷わず
あの真ん中の前から4番目の席に座る。
オレンジに染まる教室は、
何も変わらない。
あの頃と同じだ。
僕は、
手に持っていた手紙を
机の上に置いた。
百合から届いた一通の手紙。
僕はなかなか開ける事が出来なくて
ただ見つめるだけ。
何が書かれているか、
すごく不安で
怖かったから。
百合はもういないのに、
届く事はもうないのに、
今目の前にある百合からの手紙。
字は確実に百合の字。
もしこの手紙の内容が、
僕を違う世界に堕ちる内容なら、
僕は見ない方がいいだろう。
でも僕は手紙に手を当てた。
そして丁寧に開けてゆく。
封筒の中には
何十枚とゆう便箋が入っていた。
僕は深呼吸をし、
手紙を開いていく。