この涙が枯れるまで
僕も瞳と同じ出口へと向かい、
教室へと行った。


『優~~~!!!!!!』

僕の名前を叫び、息を切らしながら教室に入ってきたのは、歩だ。

『何だよ』



『お前相沢瞳の告白断ったってぇ!?』


もう知ってんの?
さっきの事なのに…

『えっ?うん』

『もったいねー』

歩は残念そうな顔をして、カバンを机の上へと置いた。


『何でだよ。俺は百合が好きなんだよ。瞳じゃないし』

『まぁなー』

『つか情報早くね?』



『すげぇ噂してるから』


歩の言ったとおり、既に噂は一年生全体に広まっていた。

相沢瞳は有名だから,仕方ないか…


じゃあこの噂も百合の耳にも入ってるのかな…


あ~また不安になってきた…


今日告白するつもりなのに,出来るのかな…俺。


元気よく教室に聞こえた二人の声。

沙紀と百合が二人で教室に入ってきた。


『おっはー』
『おっはー』

二人同時に。


『おっはー』

と元気に返す歩。

『おはよ』

俺はこいつみたいに元気じゃないから控え目に。


『てかさっき聞いたんだけどー鈴木君相沢さん振ったんだってぇ?』

と沙紀が言う。

『うん、俺好きじゃなかったから』

『そうなんだ!』

嬉しそうに笑う百合。



百合の笑顔を見るのは久しぶりだった。


『鈴木君もてるね~!誰かとは違って』

と細い目で歩を見る。

『はぁ?俺はお前がいるからモテねーの。お前がいなかったらモテてたよ』

『まぁ歩を世話出来るのは,沙紀しか無理だと思うけどね』

『…そうだな』

そのやりとりをみて百合と僕は顔を見合わせて笑った。




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