この涙が枯れるまで


ずっと先にいたのはね、

私の両親と同じぐらいの歳の人が二人いたの。


どことなく誰かに似ていた。


でも思い出せなかった。


私はね、その人達に尋ねたの。


『空の上って変ですね。もっと思い出したい事たくさんあるのに、思い出せない』って。


するとね、

『空の上には大好きなモノしか写らないのよ』


って答えてくれたの。


今写っているのは、


優君だけ。



私の大好きなモノなんだ。

そしたら、

涙が出ちゃったの。


そしたら、

その人達が抱き締めてくれた。


私に声をかけてくれた。


『ねぇ…見て?』


私は顔を上げた。

そこには、


男の子と女の子が写っていた。


『この女の子ね、あなたと同じ年頃なのよ?』


『可愛いですね』



『そう?私達、この子達を置いていってしまったの。すごく後悔しているわ…』


『……ここはどこなんですか…?』



『…知らない方がいいわ』


私の夢はここで途切れたの。


起きると、


目に涙があった。



この夢がもしホントなら…

私怖いな…


私、優君の声が聞きたくて、


何回も電話をかけようとしたけど、


出来なかったの。




< 397 / 419 >

この作品をシェア

pagetop