この涙が枯れるまで
最近、夢の中に百合が出てくる。
泣きたいけど、百合が手紙で言っていたように、笑うんだ。
百合は僕の笑顔が好きと言ってくれたから。
僕は笑顔を枯れさせない。
日はだんだんと過ぎていく。
───……
『優~!!起きなさい!!あんた今日歩君の結婚式でしょ!!??』
と部屋の外から母さんの声が聞こえた。
僕は携帯を手に取り、今何時かを見た。
すると7時50分だった。
ナナと安里との待ち合わせは9時。
『やべぇ!!』
僕は慌てて洗面所に行って顔を洗う。
『もっと早く言って!!』
『何回も起こしたじゃない!!』
顔を洗い終えると、朝食を急いで済ませ、歯を磨き、
昨日出しておいたスーツを着る。
時計の針は8時25分。
『おっしゃ…ギリギリ』
『優!!ご祝儀忘れてるわよ!!』
『あ~!!』
僕はご祝儀を持って、急いで駅に向かった。
バスに乗って駅を目指す。
移り変わるバスからの景色は、百合を思い出させてくれる。
僕は笑うんだ。
僕は、まだ百合が生きているって思ってしまうんだ。
百合はこの街で
生きている…