この涙が枯れるまで
間違いない、この家だ。
僕は聞いてみたんだ。
『小林百合という人を知っていますか?』
それを聞いた女の人は、笑顔で話してくれた。
『知ってるわ。ホームスティに来てた子だもの。
あなた…もしかして優?』
『えっ…はい…優っていいます』
『中に入って?』
僕は家の中に誘導された。
『座って?』
『あっはい』
僕は大きなソファーの上に座る。
『私、ティファニーっていうの。ホストマザーだったのよ』
『そうなんですか…』
『あなたの話をよく百合から聞かされたわ。
写真を見せてくれたの。
だからあなたを見た瞬間分かったわ』
『そうだったんですか…』
『百合は元気かしら?』
僕は下を向いた。
ティファニーはそれに気付く。
『どうしたの?』
『百合は…亡くなったんです…』
『え・・・』
『カナダから帰ってくる飛行機で…』
『そうだったの…そのニュースなら覚えているわ。
まさか…百合が乗っていたなんて…
言葉にならないわ…』
僕の目からは、泣かないと決めていたはずなのに、
涙が出てきた。