この涙が枯れるまで
僕はある家に向かった。
今日は僕の人生で、一番大切な日だから。
―ピーンポーン・・・
『はい』
中から出てきた人は、僕の最愛の人の母親。
『こんにちは…』
『優君…』
『今日…命日ですよね…』
今日は百合の命日。
そして百合の誕生日。
『毎年ありがとう…あがって?』
『はい、おじゃまします』
僕は百合の仏壇の前に座った。
『百合…久しぶり…
今日プレゼント持って来たよ…
ホントはね、百合が帰国した時に渡したかったんだけど…
見える?』
僕が見せたものは、あのカルティエのラブリングだ。
『どう?百合に似合うと思ったんだ』
僕は仏壇の上にそっと置き、手を合わせた。
そしてゆっくりと目を開け、遺影に目をやる。
すると百合のお母さんが、僕に言ってきた。
『百合は幸せものだわね。素敵な指輪もらえて、
毎年会いに来てくれて。
でも…優君?
彼女…百合以来出来てないんでしょう?』
『はい』
『作らないの?』
『運命が…変えてくれると思うんです。それまで待ちます』
『そう…百合の分まで幸せになってね』
『はい!!』
僕は笑顔で言った。
そして、僕は百合の家を出ていった。