この涙が枯れるまで
あの運命の出会いから、三年後。
百合と別れて十年が経った。
十年後の春──…
僕は今日も秘密の場所にいる。
桜の木は、毎年キレイに花が咲く。
『百合…歩と沙紀にね、
二人目が産まれたよ。
男の子だって。
歩すっごい親バカなんだ。
安里が、有名なサッカーチームに入ったよ。
ナナは、初恋の人と幸せな日々を送ってるってさ。
和樹は、栄養士になって忙しいって。
瞳は先生になってバスケ教えてるよ。
俺は…フリーカメラマンになったんだ。
これからいろんな写真を撮りたいなって思ってる。
間違ってないよね…?
百合…俺今幸せだよ』
僕は桜の木を見上げ笑顔になった。
すると、一人の小さな女の子が、まだ慣れない走りで、僕の方に向かって走ってくる。
小さな女の子の更に奥に、
ここで運命的な出会いをした彼女がいた。
すると彼女が叫んだ。
『パパー!!受け止めてー!!』
小さい子は笑顔で僕の方へ駆け寄って来る。
二つに結んだ栗色の髪を揺らして・・・
僕は小さな女の子に向けて、
両手を広げた。
そして叫んだんだ。
『おいで…百合…』
ねぇ…百合?
僕は、毎日君の名前を呼ぶだろう。
ねぇ…百合?
僕は、毎日君を想うだろう。
ねぇ…百合?
この涙が枯れるまで、
僕は泣き続けるだろう。
永遠に…
《完》
次のページにて、
この涙~続編の詳細あり。