この涙が枯れるまで


学校から駅までは、結構長い距離ある。

僕は百合の手を握ったまま駅まで歩いた。


その間僕達の会話はつきなかった。


内容の事は聞かないで。

ほとんど覚えてないんだ。

でもただ覚えている事、

それは百合の手の温もり。

ただそれだけなんだ。



『じゃあね』

『うん…』


あっという間にもう駅だ。

駅には通勤を終え、肩を叩くサラリーマンや、
通学を終え、一生懸命携帯をしている女子高生など、
さまざまな人たちで群がっていた。


百合と離れるのはとても寂しい…


でも百合は僕の彼女。

一番近い存在。


だから大丈夫。


―まもなく2番線に電車がまいります―


僕達を引き裂くアナウンス。


『じゃあ…行くね』

『うん…また明日ね。帰ったらメールする』


『分かった!待ってるね』

『バイバイ』


―プシュー

ドアが閉まった。

走り出す電車。


百合が僕の前から少しずつずれていく…


百合は僕に手を振り続けた。


僕も百合に手を振り続けた。

電車が見えなくなるまで僕は駅にいた。



僕はバス停に戻った。

戻っている間僕はいろいろ考えた。


百合との関係。


これから百合とどうして行くか。


とか…


嬉しい事沢山ある。



百合との思い出を沢山作っていこう──…





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