この涙が枯れるまで


百合の家に着いてから数時間が経過しようとしていた。
でも僕の緊張はまだ治まらない。
あと少しで12時だ。

僕は12時ちょうどにプレゼントを渡すと決めていた。
プレゼントはペアリング。

百合は気にいるかな。


そして二つの針が重なった。


『百合…誕生日おめでと』


『ありがとう。』



僕達はキスをする。
真夜中にキスをすると何故か結ばれた気がするんだ。

百合…生まれてきてくれてありがとう。



『百合…4ヶ月たったね。早かったな』


『そうだね、でも幸せ』


『幸せ?』


『うん、優君に会えて幸せ。優君…ありがとう』



僕は百合から《幸せ》と聞けて、本当に幸せだったんだ。

『百合…これ。』


僕は百合にプレゼントを渡す。
小さな箱だけど、中身は詰まっているよ。
輝く指輪と、僕の気持ち。


『私に?』


『うん』


百合は嬉しそうにプレゼントを開ける。



『優君…これって……』


『ペアリング』


『嘘…』

目を見開いて、信じられないようなものを見ているような表情を見せる百合。


『本当だって。ほら』

僕は百合に左手を見せる。
信じてもらえるように。



『………』


『百合?』


『ありがとう!!すっごく嬉しい!!! 付けていい?』


『俺がつける。』


僕は百合の左手に指輪をはめた。


『百合気に入った?』


『すごく!!今までの誕生日の中で一番幸せ!!』


僕は百合の一番になれた気がした。


僕は百合にお礼を言わなければならない。


『百合聞いて?』


『うん?』


『今はこんな安い指輪しか買えないけど…大人になったらちゃんとした指輪を買ってあげる。百合…それまで俺から離れないで欲しい。俺は必ず百合を幸せにする、約束するよ』



百合は下を向いた。



百合の目から涙が溢れたんだ。


僕はその涙を手で拭いてあげた。



愛しい…愛しすぎる。


僕は君を心から愛していたんだ。



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