この涙が枯れるまで
僕は教室へと戻った。
『百合、次サボれるか?』
久しぶりに百合と話す。
あれ以来連絡もとっていなかったから。
『うん、大丈夫』
『じゃあちょっと話せるか?』
『うん』
『じゃあ来て』
僕と百合は屋上へ行った。
空を見て喋った方がちゃんと言えそうな気がしたから。
『百合、今までごめんな』
『百合こそ…ごめんね』
『百合…本当本当の事話してよ』
『本当の事。俺も話すからさ』
まず僕から話した。
深呼吸をして言葉を並べていく。
『知ってたんだ、百合と滝川先輩がまだちゃんと別れてないって。確かそれを知ったのは8月27日。百合の誕生日だった。ベットから写真が出てきて…あれは…何だったの?』
『あれは…ごめんなさい、確かにあの時はまだ滝川先輩の事忘れてなかった…
でも優君と結ばれた時、どっちかにしなきゃって思ったの、でもなかなか結果が出なくて…』
『それで俺に嘘をついていたの?』
百合の横顔を見ていると、胸が締め付けられていく。
悲しい顔しないでよ。
『うん…優君を失いたくなかったから』
『百合…あの時言った言葉は本当だった?嘘だった?』
『あの時?』
『百合は俺に言ったじゃん。指輪をあげた時に。一番幸せだって。あれは嘘だったの?』
『嘘…ではなかったよ』
この言葉を聞いた僕は、心のどこかでホッとしていた。
『そっか…じゃあさ…百合の中で一番は誰だった?』
『……………』
『俺?』
『…………』
『滝川先輩?』
『…………』
『百合…百合はずるいよ。ずるすぎる』
百合…君は何に迷っているの?
君はずるい。