この涙が枯れるまで

僕は教室へと戻った。


『百合、次サボれるか?』

久しぶりに百合と話す。
あれ以来連絡もとっていなかったから。


『うん、大丈夫』


『じゃあちょっと話せるか?』

『うん』



『じゃあ来て』


僕と百合は屋上へ行った。
空を見て喋った方がちゃんと言えそうな気がしたから。


『百合、今までごめんな』




『百合こそ…ごめんね』





『百合…本当本当の事話してよ』

『本当の事。俺も話すからさ』




まず僕から話した。
深呼吸をして言葉を並べていく。

『知ってたんだ、百合と滝川先輩がまだちゃんと別れてないって。確かそれを知ったのは8月27日。百合の誕生日だった。ベットから写真が出てきて…あれは…何だったの?』


『あれは…ごめんなさい、確かにあの時はまだ滝川先輩の事忘れてなかった…
でも優君と結ばれた時、どっちかにしなきゃって思ったの、でもなかなか結果が出なくて…』


『それで俺に嘘をついていたの?』


百合の横顔を見ていると、胸が締め付けられていく。
悲しい顔しないでよ。


『うん…優君を失いたくなかったから』


『百合…あの時言った言葉は本当だった?嘘だった?』


『あの時?』


『百合は俺に言ったじゃん。指輪をあげた時に。一番幸せだって。あれは嘘だったの?』


『嘘…ではなかったよ』


この言葉を聞いた僕は、心のどこかでホッとしていた。



『そっか…じゃあさ…百合の中で一番は誰だった?』


『……………』


『俺?』


『…………』


『滝川先輩?』


『…………』


『百合…百合はずるいよ。ずるすぎる』


百合…君は何に迷っているの?


君はずるい。






< 69 / 419 >

この作品をシェア

pagetop