この涙が枯れるまで
~第八章・桜~


百合が居ない生活が当たり前のようになっていた。
桜が咲き始める。
そして僕は二年生になった。
そういえばこんな季節に僕は百合と出会った。
何もかも新鮮だった。

でももう百合は僕の隣にはいない。

もう忘れよう。


百合が前に進めるため。
僕が前に進めるため。

始業式。
クラス発表。

僕は何組になっただろう。


『優~』


『おっ!!歩じゃん!!久しぶり』


何も変わっていない、歩の笑顔。
それも見るたびに初心に戻る気がした。


『だなぁ!また同じクラスだぜ』


『おっまじで~』


『あと沙紀も』

『やったじゃん!!!』


百合は…?
百合は同じクラスじゃないの?



僕はクラス発表の張り紙を見た。



小林百合…………なかった。


百合は違うクラスだった。
僕は何を期待しているのだろう。

もしまた同じクラスになったら辛いのは百合の方だ。
百合に辛い思いはもうさせたくない。
百合頑張れよ。


僕は新しい教室へと入っていく。


新しいクラス、それは2年6組だ。
先生は一年生と同じ林先生だった。

歩、沙紀、先生。


あまり変わっていなかったが変わっていたのは、横に百合がいないだけ。
ただ、それだけだった。


『優は最近どうよ?』


『俺?なんもねぇ…』



本当に何もなかった。

春休みはバイトばっかりだったからだ。


つまらない日々を送っていたんだ。




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