虹が架かるまで
そんな考えを持っていただけに、

小笠原の言葉に驚いた。


まるで僕が、


この僕が、


1年生の部員の中で
突出した存在で
あるかのような言い方を
確かに彼はしたからだ。


「俺ら代なら
全国制覇できるかもな。
川村の3Pがありゃあな。」

小笠原が笑って言う。


やめてくれ。

俺の存在を特別に
するのは。



そう言って褒めているのは
今のうちだ。


憂鬱と恐怖がぐるぐると
脳内を猛スピードで駆け巡り
僕の体中を嫌な血液が満たす。


「いや、そんなに買いかぶるなよ。
俺の本当の実力見たら幻滅するぜ。」


必死だ、僕は。

文字通り、必死。


「まーた、そんなこと言って。
ん?あれ、女バス誰か残ってんぞ。」


体育館の片づけを終え、部室に
戻ろうとしたとき、

第二体育館の明かりがついている
ことに気付いた小笠原が言った。
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