月夜に舞う




「さて、華よ。今日もほかの神姫どうよう舞なさい」




村人は勝手。



自らの罪を私たちになすりつける。



私たちが舞うことでこの村は滅びずにすんでいる。



いっそのこと、己の罪をみとめ罰をうけてしまえばいいのに。



そんな事は、言えない。



私にも多かれ少なかれ罪はあるのだから。



舞い終わるたびに心の何かがなくなる。



そんな神姫を私は見てきた。



三代目『巫女長』は心が空っぽになって死ぬことができない私たちが唯一死ぬことのできる日、新月の日に自害した。



でも、それで幸せだったのかもしれない。




「さぁ、今宵も舞いましょう。そして、感情を捧げましょう」




そう、神舞はただ『舞い』を捧げるのではなく『感情』を捧げるもの。




私はたくさん感情をなくしたけれど今度は何を失うのかしら?
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