secret love
新宿駅東口では12時になっても、まだホストや飲み会の帰りのサラリーマン、学生がうじゃうじゃしていた。

もう季節的には冬といってもいい位肌寒い風邪が吹いている。

寒そうにして煙草を吸っているヤスを見つけた。
あたしは最初になんていっていいのか分からなくて、その間ずっと彼を見つめていた。

『ヤス。久しぶり。』

『久しぶり。』

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。』

『寒いね?帽子かぶってるヤス初めて見た。』

『うん。オレ冷え性だから。・・・・・・・・・・・・・・ごはん食べた?』

『ううん。どうしよっか?どっか入る?』

『俺さ、この間実習で作った煮物が上手くできたから、今日も家で作ったんだ。食べる?』

『うん。』

あたしにとってのヤスはお薬。
仲直りの言葉だっていらない。
言い訳だってごめんって言葉だっていらない。
ヤスの顔を見ただけで怒ってた気持ちはなくなって嬉しくなった。
ヤスと抱き合えばもう不安もなかった。あたしのお薬。


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