あひるの中の薔薇
*゚一章゚*
汚れた世界
「亜理沙ちゃ――ん
指名入りま―す」
「はぁ――い 今行きます」
今日も あのニセモノの世界へと
足を踏み入れた
「亜理沙ちゃんはピチピチでかわいいね〜」
目の前にいるお客さんが
あたしの太ももに触れてくる
「やだぁ加藤さんったら!!
そんなにさわらないでくださいよ〜」
あたしはその手を うまくどかした
加藤さんは この店“black&pink”の
常連さんだった
年は40後半から50後半ぐらいだろう
いつも指名してくるのはあたしで
いつもどこかに触れてくる
こんな職業だから 仕方ないことかもしれないけど
正直 ほんとに嫌
とゆーか この店のすべてが嫌
憎い
けど あたしには
ここしか居場所がないんだ――