あひるの中の薔薇
――――――数分後
ようやくあたしの涙は止まってくれた
けれど 流れて止むことがなかった
あたしの涙のせいで
ずっと抱きしめていてくれたお兄さんのシャツは
ベショベショになってしまっていた
「ほんとすいません!!
ちゃんと洗って返します
これを 着てください」
あたしは オーナーが置いていった
シャツを 一枚渡した
「あぁありがとう!!
確かに これじゃぁ帰れないな」
お兄さんは笑顔だった
――――――――………
長い沈黙―――――…
あたしはこの空気が耐えられなくて
とうとう 口を割ってしまった