あひるの中の薔薇

「ちょっと!! あんた 何歳なの???

こんな夜に 街中うろついて…

あたしを買ってって言ってるのと同じだよ!!」



女の人の声が聞こえた



ふっと顔を挙げると

真っ赤なワンピースドレスに身を包んだ

20歳後半の美人なお姉さんが

あたしを見下ろしていた



あたしは知らぬままに お姉さんに抱きついて

泣き叫んでいた



「…っと ちょっと

どうしたの あんた」



「お母さんがっ…

お父さんがっ…

ゥワァ――ン…ヒック…エッグ…」



あたしはお姉さんの声なんか耳に届かず

ずっとずっと気の休まるまで泣き叫んだ


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