シルバーウルフ -Is this love?-
そうしてようやくたどり着いた女囚刑務所。蒸し暑い体育館に並べられたパイプ椅子。空調なんてなかった。そこに整列行進して入館する女囚たち。



200人以上は居たのだろうか?パイプ椅子に着席する女たち。瞬間に“母性”“優しさ”“執念”“情念”が体育館内の空気に入り雑じった。


それが体育館内の温度を上げるようだった。





俺たちは努めて無垢(むく)な子供の振りをした。舞台の上で、女囚たちの前で讃美歌を歌ってやった。



とりわけ、どこで歌っても受けが良かったのが“Amazing Grace”だった。







  アメージング グレース



  何と美しい響きであろうか



  私のような者までも救ってくださる



  道を踏み外しさまよっていた私を



  神は救い上げてくださり



  今まで見えなかった神の恵みを



  今は見出すことができる
                ”





日本語で訳すとこんなカンジだろうか?俺たちは女囚たちの前だけに限らず、老人ホームでも、結婚式場でも、これをよく歌ってやった。








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